大福 blog

病院勤務の総務・労務担当者の日常です。社会保険・時事をメインにお話を。2022社労士試験合格(未登録)

社長・役員の雇用保険加入

【本日のお話し】

代表取締役が1年以上前に退任してて、雇用保険の加入はいつだ!って言われました。」

「ていうか人事権・経営権に強く絡んでいたので、労働者じゃないじゃん?てことで加入手続きをしてなかったんです。」

「早速、ハローワークへ行ったのですが不足書類もあり加入できませんでした。」

「加入するための必要な書類等をお願いしたのですが、元代表取締役からはNGを喰らってます。どうすりゃ良いですか?」

てな感じのお話しを知人から頂きました。

 

今日は役員と雇用保険の加入のお話しを。

 

-

まず、雇用保険は従業員が加入します。

社長・代表取締役、取締役等は加入できません。

 

がしかしです。取締役は加入の余地が残っています。

イメージしやすいパターンだと「取締役・工場長」「取締役・営業部長」など、取締役だけど従業員としての性質もあるような場合です。

 

届出としては、資格取得届出に「兼務役員の雇用実態証明書」をハローワークに提出し判断をして頂く流れになります。

 

通常であればこの対応でOKなんですが、今回のケースは少々ややこしかったです。

 

まず、ハローワークからは「労働者性の証明」をお願いされてます。

具体的には、雇用契約書、賃金台帳、勤怠簿(タイムカード等)です。

これらの添付書類で「私は一社員(労働者)ですよ」ってことを具体的に証明します。

 

が、今回の元代表は「なんで、私の会社なのに雇用契約書が必要なんだ。タイムカード?馬鹿にしてるのか?なんでお前らに管理されなくてはいけないんだ!?」とお怒り。

というか、この時点でもはや労働者性が無いため雇用保険の加入は不可能です(笑)

 

元代表としては、登記簿から除外されたので俺は役員ではない、よって従業員だ!という理屈の様です。

ただ、実質・実態としては、厳然と人事権や経営の重要な判断に深く関わっている印象が強いです。

恐らくハローワークとしては、実質・実態ベースで判断するので加入は難しいだろうなというのが私と知人の感触です。

 

ただ、なんというかやはり元代表は「登記されていないのに、なんで役員扱いなんだ!」の一点張りで対応は難航しそうです。

 

とりあえずの善後策として私が提案したのは、「雇用保険審査官への審査請求」です。棄却された場合は訴訟も辞さないというプランで行け!と気楽に他人事の様なアドバイスをしました(笑)('ω')ノ

 

それくらい、役員・元役員等の加入は厳しく難しい道のりなのです…。

 

【まとめ】

経験は少ないですが、役員の雇用保険の加入手続きをしたことがあります。

「取締役・主任」というイカした肩書の方で、給与は取締役3万円・従業員分21万円くらいでした。

ほぼ100%従業員と判断され、手続きはスムーズだったよーに記憶しております(笑)