大福 blog

病院勤務の総務・労務担当者の日常です。社会保険・時事をメインにお話を。2022社労士試験合格(未登録)

年金の支給額は現役世代の給与と連動しています。

こんばんは♪大福です。

 

給与支払報告書や法定調書など例年に無いスピードで対応しています!

さて、今日は以下のニュースの解説をしつつ年金の支給額ってどう決まるの?というお話しを。

21年度の年金0.1%程度減額 4年ぶり引き下げ 実質賃金低下が影響(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 

このニュースを見て、年金の仕組みなどを学習したこと無い人はどこに疑問を持つんでしょうね…?

初歩的なところから、年金の仕組みのお話しをしてみたいと思います!

 

タイトルにある通り、年金の支給額は現役世代の賃金(給与・賞与)と連動しています。

メチャクチャ平たく言うと、現役世代の給与がアップすれば年金もアップします。

その逆もしかりです。

 

こいう話しをすると、年金受給世代の方からは次の様な突っ込みがはいります。

「これまで給与から控除されて積み立てたやつをもらうんだから、関係ないだろう?なんで自分お金を満額貰えないんだ?」と。

まず、ここから発想の転換が必要です。

 

年金の基本構造は…

①働いている時に自分が納めた年金 → 65才になったらそれを取り崩す

ではなく

②今働いている人が納めた年金 → 年金を受け取っている人

という構造です。

これを少し専門的な用語でいうと、「世代間扶養」「相互扶助」ということになります。

 

支払われている年金の総額は年間約50兆円。

これを現役世代の保険料や税金などで賄っているということになります。

 

さぁ、ここで2択問題です。

年金の財源の確保はどちらの視点に基づくでしょうか?

 

①年金額が〇円だから、集められる保険料は〇円にしよう

 →年金の給付額がスタート

②集められる保険料は〇円だから、年金額はいくらにしよう

 →集められる保険料がスタート

 

さぁ、どちらだと思いますか?

… …

… … …

 

答えは②です。

これも専門的な言葉で言うと、「保険料固定水準方式」といいます。

 

え…(*´Д`)

てことは、少子高齢社会になるとどうなるの?

働く人が減ると集められる保険料が少なるから、年金は減るの?

となりそうですが、そこで国庫(税金)が出動します。

 

例えば年金を18万円受給しているとして、9万円が国庫・9万円が現役世代の保険料です。

(過去は、国庫が国庫が12万円・6万円が現役世代の保険料でした)

 

さぁ、長くなりましたが、ここまでが年金の初歩の初歩です(笑)

 

ざっくり年金の財源は半分は国が、半分は現役世代の保険料で賄われている。

では、年金の額はどうなるか?というと現役世代の賃金水準と連動しています。

 

例えば…

現役世代の給与 30万円 / 年金 30万円

のケースで考えます。

ある年、好景気で現役世代の賃金が5%・1.5万円上昇したとしましょう。

そうすると、年金も1.5万円上昇します。

つまり

現役世代の給与 31.5万円 / 年金 31.5万円

 となります。

 

では逆にコロナの影響などで現役世代の賃金が同じく1.5万円下がったら?

現役世代の給与 28.5万円 / 年金 28.5万円

 となります。

 

つまり、今回の年金額の減額はコロナで現役世代の給与が下がったから年金も下がるという結構シンプルな仕組みによるものなのです。

 

さぁさ、そしてもう一つ気になる小難しそうな言葉ありますね?

そう「マクロ経済スライド」です。

 

これは一言で言うなら、少子高齢化を見込んで年金の上げ幅を下げる仕組みです。

上記のお話しで言うと…

 

現役世代の給与 30万円 / 年金 30万円

↓好景気で給与+5.0% 

現役世代の給与 31.5万円 / 年金 31.5万円

 ↓ではなく、将来の少子高齢社会を見越して、上げ幅を-0.3%する!

 年金の+5.0%-0.3%

現役世代の給与 31.5万円 / 年金 31.41万円

 

では同様に…

逆にコロナの影響などで現役世代の賃金が同じく1.5万円下がったら?

現役世代の給与 28.5万円 / 年金 28.5万円

この場合は、さらに-0.3%はしません。

 

結構長くなったので、まとめますと…

①年金の財源は現役世代の保険料と国庫(税金)

②年金の額は現役世代の給与に合わせて増減する

③年金の額が上がる時、少子高齢に影響を考慮して増額は少し減る

という感じです。

 

そして、最後に皆様にもぜひ考えてほしいことがあります。

コロナの影響で…

・現役世代の給与が下がる → 保険料も減る

少子化が予想を超えて加速する見込み → 保険料を払う人が減る

・高齢者が増加する → 年金を貰う人は増える

になりそうな感じです。

年金の額を賃金に連動させるのであれば、年金を受け取る人達の生活が逼迫する恐れがあります。

じゃ、それを支えようとするとしたらどうしますか?

現役世代の保険料を増額しますか?

→現役世代の働く意欲が削がれ、消費が落ち込みませんか?

あるいは国庫を増額しますか?

→財源は?消費税をアップする?

 

私個人の感触ですが、本当シャレにならん事態になりそうな予感がするんですね?

 

その証左・歴史として、年金の大きな改正は概ね30年で行われてきました。

昭和36年(皆年金・皆保険の創設)

昭和61年(年金一元化

ネクスト?

 

さぁ、これからの年金関連のニュース、本当に注目です。